津浪と人間 寺田寅彦

  • 2011.10.12 Wednesday
  • 05:54


今日は寺田寅彦の評論文『津浪と人間』を紹介します。
いま、小中学校では放射線の教育をはじめたそうですが、それはなにか順序が逆じゃないかと思います。まずはじめに、地震や津波の教育からやるべきじゃないかと。それで次に、科学的に何が起きているかよりも、社会にとって放射線とはどういうものかということを教えるべきだと思います。人間同士の接触ではうつらないということや、大気や土壌や食糧が汚染されていて農村の避難や保証がもっとも重要な問題であると言うような、科学者が見落としがちなことを教えるべきであって、放射線の仕組みを教えても何も見えてこないですよ。




それに放射線のことをもっと知るべきなのは親御さんや各専門分野の、第一線で働いている人々であって、子どもがまず知るべきは自然がどれだけ人間を上まわるかということと、環境を汚染した時にその被害が人間に直接降りかかってくると言うことと、水俣病が起こり始めた頃は数値ではその危険性を察知することが難しかったと云うことですよ。あの時も政府側の科学者は「このような濃度の水銀汚染では人体に悪影響は出ない」というようなデタラメな発表を平気で行ったんですよ。科学の思考法で子どもに教育するんじゃなくて、倫理学者の考え方こそが重要なはずです。




まったくの素人が言っても仕方のないことですが、科学者が子どもに教えるよりも、科学者がもっと地震学や倫理学や近現代史を学び直すべきなんじゃないでしょうか。たとえば原子力発電所が乱立する福井県では、1948年に大地震が起きて居るんですが、これが二度と起きないという保証はどこにもないですよね。世界の原子力業界から見れば地震の震源に原子力発電所を設置するのはあまりにも非常識なのだそうです。そう言う問題について原子力業界とは異なる他分野の、権威ある科学者がまず中心になって自発的な会合を開かないと駄目なんじゃないですかね。文学者が文学者を啓蒙すると言う実例はかなり多いです。しかし科学者が科学者を啓蒙するということが日本では今まであまりにも少なかったように思います。大学の学者同士の会合で、BSE問題をテーマに議論していたことがあったそうです。いろんな学者が意見を述べた。科学者が中心になってBSEとはどういうものかを発表していくことからはじまったそうです。それで民族学者が最後に「そもそも畜産の歴史をしっかり理解していれば、死んだ牛の骨を牛に食べさせることがタブーであることが、誰にでも理解できるはずだ」と述べて多くの学者がその意見に納得したそうです。そこでは他分野の学者が多くの学者を啓蒙しています。




シビリアンコントロールという言語がありますが、これからの社会はサイエンティストを市民や政府がしっかりと見張らなければならない時代になったように思います。阪神淡路大震災の時代に日本でサリンが作られてしまったのも、若きサイエンティストが倫理学を学ぶ機会を失っていたからです。倫理というものは幼い頃に一度学べばもう良いというようなものではなく、体操をしないままで居ると体が錆びつくのと同じで、常日頃から必要とされている学問だと思います。




変化が激しい時期には、新しいことを言いたがる人の主張を信じず、古典に学ぶべきだと感じます。






http://akarinohon.com/basic/tsunamito_ningen.html  (ページ数 約15枚)



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