戦争責任者の問題 伊丹万作

  • 2011.10.18 Tuesday
  • 16:25


今日は伊丹万作の『戦争責任者の問題』を紹介します。
これはいままさに読んでおくべき評論文ではないかと思います。基本的な考え方をはっきりと記してあるので、どのような思想を持つ人であっても読むと納得のゆくところがあるのではないかと思います。




要点を少し説明しておきます。
伊丹万作氏は戦後、積極的に戦争へと向かわせたメディアの担い手として「犯人扱い」を受けたと述べることからこの評論文を書きはじめます。当然戦争犯罪の責任者では無いのですが、伊丹万作氏は「私が人々をだました映画制作者であるとして」というところから思索をはじめています。




「戦争の期間を通じて、誰が一番直接に、連続的に我々を圧迫しつづけたか」と言うと、日常生活の中に居る身近な人同士が、お互いに苦しめあわなければならなくなっていたと伊丹万作氏は述べています。




特定できるはずのない犯人を特定するのではなく、しかしその大きな問題の「原因」は皆でしっかりと論じあう。これが再び狂気へと向かわないためにも大切である、と伊丹万作氏は述べています。そして責任ということについてならほとんど万人に責任があるはずで、自分は直接には戦争を引き起こしてはいないからといってその責任がないとは言えない、と述べています。倫理上の罪は裁けないわけですし、悪人を特定して自身の責任を逃れることは出来ない、ということなのだと思います。罪を憎んで人を憎まず、という当たり前のことがまず何よりも大切であるかと思います。




重要なことは、未来に同じ過ちを起こさないということです。それには学ぶよりほかない、と伊丹万作氏は述べています。私たちが知らない困難な時代について、私たちがそれを少しずつ学んでゆくということは、私たち自身の未来に聳える壁をより明確に捉え、それを克服してゆく手助けとなるのではないでしょうか。



 


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