道楽と職業 夏目漱石

  • 2011.11.03 Thursday
  • 20:05


今日は夏目漱石の『道楽と職業』という講演録を紹介します。夏目漱石には、代表的な講演録が3つほどあります。『私の個人主義』と『現代日本の開化』と『道楽と職業』です。夏目漱石が学生さんや一般の方々にちょっとした授業をしたような雰囲気の講演録です。これからこの3つの講演を1つづつ紹介してゆく予定です。




夏目漱石の小説をまずはじめに楽しみたいのなら『坊っちゃん』や『三四郎』がお薦めです。『草枕』なども明かりの本で読めますよ。『道楽と職業』は1911年の明治四十四年に行われた講演の記録です。明治四十四年というと、文明開化を遂げてナショナリズムが高揚し戦争へと向かってゆく時代です。「満州」というのが三十五年後にどのように捉えられるか判らない時代のことです。三十五年後の未来が、誰にも判らなかったんですが、漱石はそういった未来を見据えて、各個人がどういうことを尊重して生きてゆくべきかを指南しています。




帝国主義へと向かってゆく時代には、夏目漱石の親友である正岡子規も志願して従軍記者となり満州へ赴いたりしていますし、森鴎外も軍国主義です。多くの文化人が、イギリスの植民地主義を真似て強国を目指していました。私たちは1945年のことを纔かに知っていますが、2045年のことはほとんど全く想像できないですよね。ですが、漱石は35年後のおおよその世界を想像できていたのではないかと思います。漱石が現代に生きていたら、現代社会をどう読み解き、私たちに何を教えるだろうか、ということを想像しながら読んでゆくと、いろいろと思索できるのではないでしょうか。漱石の思想は、時代を超えて私たちに学問と日常の大切さを伝えているように思います。




僕は「仕事がない」と思っている人間ですが、同じように「仕事がないかも」と思っている学生さんには具体的に楽しめる話だと思います。漱石は『素晴らしい大組織』の話しをするよりも、私たちのじつに身近な話のほうにこそ哲学性や学問性が含まれていると諮詢しています。実際にこの講演録を読んでゆくと、授業と言うよりもなんだか落語を聞いたような気分になりますね。





http://akarinohon.com/center/dorakutoshokugyou.html (約60頁)

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