源氏物語 末摘花 紫式部 與謝野晶子訳

  • 2011.12.07 Wednesday
  • 06:12


今日は源氏物語の『末摘花』を紹介します。
源氏物語は華やかさということが前面に出てくる物語ですが、この章ではじめて、そういった華やかさとは違う、源氏の同情や思いやりというのが見えてきます。


そのきっかけとなるのが、末摘花の垂れた赤い鼻なんです。華やかさとは逆の、その容貌に源氏は衝撃を受けます。恋に心酔していた時には見えてこなかった、あたりの状況に気付くんです。新しい感覚を持つ瞬間というのがありますよね。ジャメビュというやつです。すでに体験していたことが、はじめての体験であるかのように感じられる瞬間。そういうのを源氏はこの『末摘花』で実感します。いままで気付かなかった美しさに気付く瞬間です。普段歩いている町並みの美しさに気付く瞬間であるとか、老翁の所作に言うに言われぬ美しさが隠されていると気付く瞬間があるのです。


源氏は門番の老翁にこれを見出します。「ふりにける頭の雪を見る人もおとらず濡らす朝の袖かな」という歌を口ずさみますが、これは「この雪の朝、雪のように白い髪の老翁を見て、私もこの老翁におとらず涙が流れでた」という意味です。




前回のあらすじ (wikipediaより)

光源氏18歳3月から冬10月の話。
瘧(おこり、マラリア)を病んで加持(かじ)のために北山を訪れた源氏は、通りかかった家で密かに恋焦がれる藤壺(23歳)の面影を持つ少女(後の紫の上。10歳ほど)を垣間見た。少女の大伯父の僧都によると彼女は藤壺の兄兵部卿宮の娘で、父の正妻による圧力を気に病んだ母が早くに亡くなった後、祖母の北山の尼君(40歳ほど)の元で育てられ10余年たったという。源氏は少女の後見を申し出たが、結婚相手とするにはあまりに少女が幼いため、尼君は本気にしなかった。

4月、病で藤壺(23歳)が里下がりし、源氏は藤壺の侍女王命婦(おうのみょうぶ)の手引きで再会を果たした。その後藤壺は源氏の文も拒み続けたが、既に藤壺は源氏の子を妊娠していた。

一方、北山の尼君はその後少女と共に都に戻っていた。晩秋源氏は見舞いに訪れるが、尼君はそれから間もなく亡くなってしまう。身寄りのなくなった少女を、源氏は父兵部卿宮に先んじて自らの邸二条院に連れ帰り、恋しい藤壺の身代わりに理想的な女性に育てようと考えるのだった。




こちらのリンクから全文お読みいただけます。
http://akarinohon.com/center/06suetsumuhana.html (約20頁 / ロード時間約30秒)




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