老子道徳経
- 2011.06.30 Thursday
- 12:31
老子は、言わずと知れた中国のもっとも有名な古典のうちの一つです。老子は、世の中にある善や規律や欲望を否定します。たとえば商人文化に対して仏教文化があるように、主流の世界に対して全く違う回答を投げかけるのが老子です。普通、「否定」をされると不愉快で聞き入れられないんですが、老子はとても上手にものごとの滞っている箇所を否定し和らげてくれるのです。老子はとにかく面白くて、ためになる書物で、ありとあらゆる文学や芸術や哲学がここから誕生し続けています。水脈の源流のような書物です。
普通の書物は、自分の作ったものがいかに優れていて他人がいかに劣っているかを主張し続けるものなのですが、老子はもっとより哲学的で、自分の立場も平気で否定してみせるんです。「書物や言葉ってあんまり役に立たないよ」とかいうことを書物に書き記しているんです。そして「これが正しいのだ、って言う話しは正しくないんだよ」とか「自分を華美に飾りたててもしょうがないよ」とか「知識なんて役に立たないよ。無知無欲な奴がいーんだ」とか言ってくるのです。ようするにただ知ってばかりいるってだけの奴は危なくて、体験を通して「判った!」ということが大切なんだということなのかもしれませんが。それで、「水のように低きに流れてゆくこだわりのない奴が良いんだ」とか「人々のことを気遣うよりも、まず自分の体をいたわる奴がいーんだ」とか「有るってことよりも、無いっていう存在のほうが大切なんだ」とか、世間で持て囃されていることとはまるで違うことを言うのです。
老子の現代語訳の本は、日本でもたくさん出ていますから、老子に興味のある人はぜひ図書館で借りてみてください。
はじめて老子を読んでみる人には、新井満さんの『老子―自由訳 』をお薦めします。
もっと深く老子を学びたい人は、金谷治さんの『老子』をお薦めします。
まずは以下のリンクから《老子道徳経》を読んでみて、その魅力を知っていただければ幸いです。