家霊 岡本かの子
- 2011.11.10 Thursday
- 00:01
なんだか福田平八郎の日本画のような、どこかで確かにこんな絵を見たことがあったような気がする、記憶の中へと入りこんでゆく物語です。情景がありありと思い浮かび、いつまでも消えない印象がのこるというのがこの小説の魅力のように思います。
ほんのすこしだけあらすじを書きますと、主人公はつい最近、母親のかわりに“どじょう屋”につとめはじめた娘のくめ子です。食事代を払えないほど貧しい、老いた彫金師が、どじょう汁を食べに来る。長生きによい、滋養がある汁を啜りに来る。このご老人が母となにか深い縁があった。
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