ランボオ詩集4

  • 2011.11.18 Friday
  • 18:58


今日はランボオ詩集4を紹介します。これは詩人の中原中也が翻訳したものです。
ランボオの詩は、小林 秀雄が翻訳したものが有名です。
小林 秀雄の翻訳したランボオを愛読する人にとっては、他の翻訳はどうもしっくりと来ないそうなのです。中原中也訳でランボオを知った人も、それはそれで別の翻訳だとなんだか違和感があるんじゃないでしょうか。




ランボオとは関係ありませんが、英語教師であった夏目 漱石が翻訳について教えるとき、生徒に「“I love you.”をどう訳す?」と質問したことがあります。それで生徒が「我はなんじを愛します」というような直訳をした。すると、漱石は生徒をキッとにらみつけて「日本男児がそんなことは言わん」と断言しました。「今夜は月がきれいですね」こう翻訳するのが正しいのだ、そうです。







ランボオ詩集2

  • 2011.10.23 Sunday
  • 11:44


今日は中原中也が翻訳した『ランボオ詩集』のその2を紹介します。
『ランボオ詩集 1』を読んでいない方は、こちらをどうぞ



中原中也は詩の翻訳が専門ではなくて、本人自身がとても有名な詩人ですが、ランボオが好きで好きでしょうがなかったようです。それでランボオの詩を熱心に翻訳しました。

僕は翻訳という業界についてはまったく知らない男なんですが、こんな話を聞いたことがあるんです。
『外国語に詳しい翻訳家よりも、医学に詳しい医療系ライターのほうが、西洋の医学書を翻訳してもらうには適任である』

どんな分野にも言えることだと思いますが、自分が専門としている分野以外になにか「好きでしょうがないもの」を見つけるのが大切だと思われます。

絵描きさんでもそうで、絵のこと以外何一つ好きじゃない絵描きさんが描いた絵よりも、古民家が好きでしょうがない絵描きさんの絵のほうがやっぱり見ていて楽しいのです。





http://akarinohon.com/center/rimbaud2.html (ページ数約10ページ)

ランボオ詩集1 

  • 2011.10.03 Monday
  • 05:40


今日はランボオ詩集1を紹介します。中原中也が翻訳した詩集の一部分です。ブラウザで詩を読むのなら5作くらいをひとまとめにして公開してゆくほうがじっくり読めるかと思うので、少しずつ紹介してゆければと思います。


詩人の草野心平の弟さんである草野天平という人が詩人について面白いことを書いています。

  • 詩のやうなものをただ書きさへすれば、それでもう詩人だといふやうなことは絶対に云へない。志を持つ人、といふと少し固く道徳的な感じがするが、少くともその感じに非常に近い、或る充実して爽やかな気持を得るために歩く人、又は歩き得た人、これこそ間違のない真の詩人だといふ気がする。

どうも詩人という世界には、「見えない詩人」というのが居るらしいのです。透明な詩を抱えた人、あるいは「透明な詩人」というのが存在するのかもしれない。




http://akarinohon.com/center/rimbaud1.html (ページ数 約5枚)

在りし日の歌 中原中也

  • 2011.05.31 Tuesday
  • 07:38



今日は中原中也の詩集《在りし日の歌》を紹介します。
この詩集は59篇の詩で構成されています。
ブラウザ上で全文お読みいただけます。




中原中也はこの詩集を、愛する子の夭折を思いながら書き綴ってゆきました。
文章を書きはじめたのは自己慰安からだった、と述べる文豪は数多くいるんです。
他人に見せて喜ぶと言うよりも、自分で言葉を創ってゆくための、ぼそぼそとしたつぶやきのようなもの。なにもこう、派閥争いのために誰かを批判するみたいな雰囲気で書きはじめたりはしなくていいわけです。




中原中也が夭折した子を思う姿を想像しながら読むと、詩の意図がつかみやすいのではないでしょうか。この詩集は、幼い死者との静かな対話としてある。
文章を書くのはなによりもまず自己慰安の気持ちから、ということがはっきりと判る詩集だと思います。




ヨシフ・ブロツキイという歴史的な詩人が「詩とは、作者と読者の二者で交わされる私的な会話である」と述べているんです。中原中也の詩を読み進めてゆくのに役立つかもしれないのでヨシフ・ブロツキイがノーベル賞受賞講演で述べた内容を、ここで紹介しておきます。(メモ帳に走り書きしたものなので、すこし原文と異なる文章になってしまっています。ご了承ください)



「小説や詩は独り言ではなく、作者と読者の会話であり、それは他のすべての人たちを締め出す極めて私的な会話なのです」

「この会話の瞬間に書き手は読み手と対等になり、読み手は書き手と対等になります」

「われわれはまったくの空っぽの場所から出発した。われわれが本能的に希求したのは、文化の連続性が持つ効力を再生させること、文化の様々な形式や比喩を復活させることでした」

「自分が他者と違う存在であることを示す。同語反復を避ける。つまり《歴史の犠牲》という栄誉ある別名で知られる運命を避けること。この点にこそ、文学の功績があります」


抜粋ではよく判らないかもしれませんので、ヨシフ・ブロツキイの本を紹介するリンクを記しておきます。
この本は、詩作を愛するきっかけとして、きっと役立つと思いますので、興味のある方はお読みください。




以下のリンクから59篇の詩をお読みいただけます。
時間がある時にゆっくり少しずつお読みください。





http://akarinohon.com/basic/arisihino_uta.html


中原中也詩集《山羊の歌》サーカス/汚れっちまった悲しみに/朝の歌

  • 2011.04.19 Tuesday
  • 07:28
中原中也の詩集《山羊の歌》を公開しました。
《サーカス》 《汚れっちまった悲しみに》 《朝の歌》など、
全文をお読みいただけます。

僕はなんと言っても、サーカスという詩が好きです。
「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」という文字がたまらなく好きです。
他の詩で、これほど魅了されたオノマトペはありません。



幾時代かがありまして
  茶色い戦争ありました

幾時代かがありまして
  冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
  今夜此処(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)り
    今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高い梁(はり)
  そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ

頭倒(さか)さに手を垂れて
  汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

それの近くの白い灯が
  安値(やす)いリボンと息を吐き

観客様はみな鰯
  咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん


     屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くら)の闇(くら)
     夜は劫々(こふこふ)と更けまする
     落下傘奴(らくかがさめ)のノスタルヂアと
     ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん





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